帯にある「無国籍ヒーリングミュージック」、「ヒーリング」にエンヤのようなケルティックなものを求めるとちょっとイメージが違うかもしれない。
それに一番近い「5. 黎明 〜Aurora〜」でもクールダウンなどできはしない。
志方あきこをはじめて聞いたときは高音が金切り声に聞こえて耳障りだったのを覚えている。「高音」というと耳に心地よい澄んだ歌声という先入観があったためだ。
志方あき子の高音はパワフルだ。ハードロック/メタル系の、たとえば浜田麻里のようなパワフルさではなく、憑かれたような、そう、シャーマニックなパワーだ。それを端的に表しているのが「7. 祈り 〜モンラム〜」。土のにおいと心臓の鼓動を感じさせ、まさに無国籍な祈りである。それは敬虔な祈りではなく挑発のようでさえある。
圧巻は「11. AVE MARIA」。
純クラシック畑の声楽家が歌う「AVE MARIA」が天井から降り注ぐ光だとすれば志方あきこの「AVE MARIA」は地上から天に向かって放たれた炎の矢だ。あくまで足を地につけて謡う。聴いていて震えがきた。
ジャケットの裏面の写真、志方あきこが神殿で手を広げている後ろ姿、このアルバムを象徴するにふさわしい構図だ。
必聴。女房を質に入れてでも聴け。
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